組と建設会社

ビルやマンションの建設にせよ、或いは道路や橋、地下鉄等の建設にせよ、建設工事において実際の作業を請け負っているのが建設会社です。

建設会社は上は日本全国でも広く名の知られたゼネコンから、下は地域の工務店まで、実にたくさん存在しています。

そういった建設会社が、いろいろなところでいろいろな建設工事に従事し、日本社会を支えていると言ってもいいでしょう。

ところで現在存在する多くの建設会社が「○○組」という会社名を名乗っています。

そして「○○建設」を名乗っているところもあります。

そして些細なことですが、皆さんは何故こうした建設会社も、そして日本にある多くの暴力団も「○○組」を名乗っているのかご存知ですか。

これに関しては一つの笑い話があります。

第二次世界大戦に敗れた日本では、戦争終了後直ちに軍隊の武装解除が行われました。

しかし如何せん戦後の混乱期のことです。

当時武装解除された日本軍から武器の一部が暴力団に流出してしまい、それを受けて当時の占領軍総司令部GHQが命令を下して、暴力団への手入れが行われました。

その結果暴力団から拳銃、鉄砲、それに機関銃等の武器が押収されました。

その際占領軍の担当者が「暴力団の○○組に機関銃や拳銃、銃弾があるくらいだから、大手請負師の○○組には大砲や戦闘機等もっと強力な武器があるに違いない」と語ったとされています。

ここで言う大手請負師とは、現在のゼネコンのことです。

当時の多くの建設会社は「○○組」という社名になっていましたが、こうした話を受けて当時の多くの建設会社が、社名が自らの企業イメ-ジを悪くしてしまっていることを非常に気にしていたといいます。

その結果、「○○組」から「○○建設」等の社名に変更する建設会社も少なくなかったようです。

以上の話は考えられないような話ですが、本当にあった笑い話です。

大手請負師と請負師

ところで上で少し紹介した「大手請負師」の「請負師」ですが、この言葉は一体どういう意味なのでしょうか。

請負という言葉を分解してみると、「請」は何か作業を依頼することで、「負」はそれを負うこと、すなわちその作業の完成を約束するとなります。

それ故この請負師という言葉は、主に建設工事を引き受けてその完成を約束する人達、ということで現在で言う建設会社の意味で使われるようになりました。

そしてこのような建設に関する、言わば「契約」を結んで実際の建設工事を行う業者を請負人、或いは請負師と呼ぶようになりました。

またこれらの請負人や請負師は「組」を組織し、それがいつしか建設に携わる集団、チームの名称となり、建設会社の名前に「組」が使われるようになっていきました。

そうした建設の仕事集団の棟梁や頭は「社長」となり、集団の屋号としては社長の名字を社名に冠し杉井組、高島組などと名乗るようになっていきました。

建設会社を表す名称で、今は請負師といった名称は殆ど見られませんし、組といった名称も現在は昔より減っています。

ですがこれらの表現は、実は第二次大戦後までは多く用いられ、一般的だったと言われています。

それが上で紹介した笑い話のケースもあって、現在が「建設会社」という名称が増えているのです。

またついでに言えば、建設工事に携わる会社の社名として、「建設会社」という名称が定着したのも、第二次世界大戦後に占領軍が占領政策に掲げた例の財閥解体もそれに関係しています。

中には新しい社名を決定する際、英和辞典でconstructionの項を引き、その訳語から「建設」という文字を取り、「○○建設」と名乗り始めた建設会社もあります。

この名称変更についてその後多くがこれに倣って後に続き、嘗ての請負人や請負師は建設会社と呼ばれるようになっていきました。